コラボレーティブセリング ~協力と協創のビジネス~

 

前回の記事で紹介したアジャイル型セールスモデルを成功させるために、忘れてはならない要素があります。
コラボレーティブセリング、協力と協創の組織づくりです。

組織である以上、協力して業務にあたることは自明に思えますが、さらに一歩踏み込んでみると、改善可能な領域が見えてくるのではないでしょうか。

 

コラボレーティブであることは本来難しい

近年、アメリカにおいてチームワークを重視したコラボレーティブセリングが注目されています。
同国におけるビジネスマンは独立自尊のワークスタイルを積極的に取り入れてきたため、その反動といえるかもしれません。

この場合、”個”を重視するアメリカの姿は、一昔前のシンプルな文明比較論を根拠とする価値観とは別の文脈があります。

ITの進展や効率性の追求から、ITツールやネットワークを利用したリモートワーク、フレキシブルなタイムシフトなどがビジネスにおける”個”の活躍を伸長させてきたという背景があります。

しかし、企業体である以上、チームワークが不可欠であることは間違いありません。

Independentなワークスタイルを経由したアメリカだからこそ、見過ごされがちなCollaborativeの難しさに気づき、克服を模索する機運が広まっているのでしょう。

では、コラボレーティブであることの難しさとはどういったものでしょう。

答えは複雑さです。
コミットする人間が増え、抱えるリソースや案件が増えるほど、管理が複雑になり、業務を阻害するのです。

 

望まれる協創のカタチ

コラボレーティブでありながら、複雑化した業務をよりシンプルに。
これからのビジネスに望まれる協創のカタチ、その例を挙げましょう。

 

情報の一元化と共有

コラボレーティブセリングでは、営業部門が単体として活動するのではなく、さまざまな部門、チャネル、パートナー と連携し、カスタマージャーニーを完全に可視化する必要があります。

そのためには、全社で顧客情報を一元管理する必要があります。
デジタル変革によって、営業年数を経た企業でも、種類の異なる複数のシステム・オブ・エン ゲージメント(SoE)を連携できるようになっています。一方、勢いに乗っているスタートアップ企業は、最初から情報の一元化を念頭にシステム環境を構築すべきでしょう。

あらゆる部門が顧客情報にアクセスできること。
営業部門でいえば、ナーチャリングキャンペーンを通じて特定した顧客の嗜好や、オンライン ショップから収集した顧客の購入履歴、カスタ マーサービスとの電話のやり取りからわかった顧客の将来のニーズなど、あらゆるタッチポイン トから得た顧客情報について、その内容をすばやく理解、共有し、アクションに反映することができます。

また、情報の共有は顧客との信頼関係を築く上で欠かせないファクターです。
顧客は一貫したサービスのレベルを好みます。
担当者によって案件の理解度が違う、伝達がうまくいっていないなどの状況は顧客の信頼を著しく損ないます。

必要な情報が、必要とされるタイミングで、かつ部門横断的にアクセスできる。
これがコラボレーティブセリングにおけるシンプルかつ効率的な情報の在り方です。

エコシステムの形成

コラボレーティブセリングに必要なのは、部門横断的に社内の協力を得ることだけではありま せん。
その範囲は、パートナーエコシステムによる連携とその強化にまで及びます。
より強力に連携されたセールスプロセスを実現するには、多種多様な要素を結び付けなくてはなりません。

適切なパートナーがいれば、同じブランドの下 で一貫性のあるカスタマーエクスペリエンスを提供しながら、企業が独力では見つけられな い、新たなビジネスチャンスを発掘することができます。
たとえば、あるホテルチェーンが航空 会社やレンタカーの代理店と提携したとします。
ホテルチェーンは、顧客が自宅を出てから帰宅するまで相手の状況を把握できるようになり、 旅程全般において、スムーズな旅行を約束することができます。
同様に、各パートナーが収集した顧客の嗜好に関する情報を利用すれば、営業担当者は、個々の顧客にパーソナライズした最適な提案ができるようになります。

 

おわりに

コラボレーティブの追及は柔軟なチームワークを実現させるとともに、アジャイル型セールスモデルなど、機動性と効率的な情報活用を重視する手法とのシナジーを生み出します。
自社においてコラボレーティブを推進する余地はないか、振り返ってみるのはいかがでしょう。