マーケティング主導で大丈夫?なインサイド・セールス ~失敗編~

 

インサイド・セールスを成功させるためには部門間連携が重要です。
特に、インサイド・セールスを新規導入する企業では、部門ごとの役割の違いを認識しなければ、効果的な運用は望めないでしょう。
各部門の本来の機能を意識した施策をこころがける必要があります。

今回はマーケティング部門が主導となってインサイド・セールスを立ち上げ、失敗に至ったケースを紹介します。

マーケティングと既存の営業組織との連携が必要な企業
マーケティング主導で営業を始める企業
マーケティングのみで既存営業組織がない企業

このような企業にとって、本記事で取り上げる失敗は興味深いケースでしょう。

 

O社のケース

業態

法人向けクラウド業務サービスを販売

導入の目的

オンライン経由で獲得したリードのコンバージョンレート向上。顧客の声をダイレクトに聞き取るチャネル構築。

O社の立ち上げ当初は、該当する業務クラウドサービスを提案する企業が少なく、アドバンテージがありました。
従来のパッケージサービスと比べて導入コストも安く簡単に導入することができたため、評判を得て、急速に売上を伸ばすことができたのです。
経営陣はクラウド開発の技術とインターネットマーケティングに精通しており、少数精鋭の経営体制で、顧客の要望を取り入れながらサービス内容を拡充させていきます。

しかし、大手企業がクラウド業務サービスに参入するようになると、成長が鈍化しました。
また、類似のサービスをO社よりも廉価で提供する競合も出てきたことから、O社は打開策を講じる必要に迫られます。

そこで、O社はインサイド・セールス及びマーケティングオートメーションの導入に踏み切ります。

 

導入初期の成功

導入はインハウス(自社採用)ではなく、アウトソーシングとすることにしました。

少数精鋭を維持したいO社としては、営業リソースを持つには時期尚早で、営業の仕組みづくりのみチャレンジすることにしたのです。

外注先には、インサイド・セールスの実績を持つ会社を選びました。
請負先からは専任の管理業務者と導入コンサルテーションを提案されたものの、自前で業務設計と管理ができるため提案を断ります。
管理業務も法的に必要最低限な条件の兼務としました。
案件をクロージングするまでの業務フローは、すべて自社で設計して、外注先にはトークスクリプト中心のトレーニングを行い、業務を開始しました。

 

開始当初は、慎重なKPIの設定もあって、コンバージョンレートを上げることに成功します。
そのため、規模を数倍に拡大することにしました。
請負先からは管理業務要員を増やすことを求められたものの、費用が割高になるため断りました。

パフォーマンスの低下

ところが、新規に加わったチームは売上を伸ばせません。
経営陣は、新たに加わったメンバーの質の問題と捉えて、メンバーを入れ替えます。
それでもパフォーマンスが向上しない状態が続くうち、先行するチームのパフォーマンスも落ちてきたのです。

O社は要因の分析を図ります。
細かなKPIの設定、行動指標のチェック、改善の指示…

しかし改善の兆しはみられず、請負先から有効な対策が提案されることもなく、契約を打ち切り。
O社のインサイド・セールスは持続的な仕組みを得られずに、いったん終わりました。

 

なぜ失敗したのか

O社の失敗は開始初期と停滞期にあります。

開始初期:

営業の仕組みづくりを自前で構築する際、マーケティング主導で行い、インサイド・セールスに最適なプロセスを用意しなかった

停滞期:

細かいKPIの設定がかえって業務を阻害した

停滞期における失敗の解説は次回記事「マーケティング主導で大丈夫?なインサイド・セールス ~解決編~」にとっておきましょう。

本記事では、開始時における失敗をみていきます。

 

マーケティングが導くインサイド・セールスの機能不全

開始初期には、マーケティングと営業との連携が練られていないがゆえの失敗が起きる傾向にあります。
O社における失敗は以下のようなものでした。

マーケティングのみの組織では営業の経験値がゼロ
営業を軽視しがち
マーケティングは、顧客のプロファイルや属性を知りたがる
情報を得たいがために、顧客に対して過剰に質問を投げかける
マーケティングは、製品、サービスについて顧客に情報を与えようとする
→顧客の関心具合を無視して、早くから自社の製品・サービスを提供しようとする
→→顧客とのダイアローグ(対話)のプロセスを無視してしまう

 

マーケティングの役割は顧客に情報を届けることです。
対して、営業の役割は顧客との対話を重ね、ニーズを聞き出すことにあります。

単純化すれば、マーケティングが一方通行の発信であるのに対し、営業は双方向のコミュニケーションです。

このことを理解せずに、マーケティング目線でインサイド・セールスを運用しようとすると、顧客のニーズに段階的に対応するインサイド・セールスのメリットを潰してしまいます。
O社は、仕組みづくりに取り掛かる際、マーケティングとインサイド・セールスの特性を分けて考え、それぞれの役割に即した業務プロセスを構築するべきだったのです。

次回記事では引き続きO社のケースを取り上げ、不調からの脱却に成功した方策を紹介します。